稲沢の教育に責任をもつ組合

執行委員長あいさつ

 花吹雪から葉桜となり、晩春の愁いを感じる季節になりました。昨年度は新型コロナウイルス感染症が5類へと移行し、さまざまな教育活動に対する制限も緩和され、各分会においてより活発にすすめることができたことと思います。わたくしたち執行部も2月の定期大会でご信任をいただき、新しいメンバーで活動をスタートさせました。その定期大会の場で、「早く行きたければ、一人で進め。遠くまで行きたければ、みんなで進め」というアフリカの山岳地帯で生活する民族に伝わる諺を用いてあいさつをさせていただきました。本年度は「ともに想い、ともに創る」をテーマに、稲沢教組の運動方針を具現化できるよう活動にとりくんで参ります。わたくしたち組合員をはじめ、市教委、校長会、保護者や地域の方など、多様な立場の人たちが、対話を繰り返しながら子どもたちの健やかな成長のために相互の想いを語り合い、共有することで、協働して新しい価値を創り出していきたいと思います。そして、これらを実現できる強いつながりのある稲沢教組となるように活動していきますので、お力添えをお願いいたします。
さて、本年度、国においては、小学校高学年における教科担任制の強化などを含め、5,660人の教職員定数改善が図られ、13年ぶりに実質的な人数の増加となりました。また、県においては、国に先駆けて小学校第6学年まで35人学級を実現させること、通級指導教員や日本語教育適応学級担当教員などを増員されることができました。さらには、産休・育休代替教員の前倒し任用の対象が養護教員や栄養教員にも拡大されるなど、人材確保に苦慮し、現場の負担が増えている昨今において明るいニュースです。
賃金関係については、県内確定交渉において、2年連続となる月例給・一時金の引き上げ、さらに月例給は4月、一時金は6月に遡って、差額支給が実施されました。しかしながら、月例給においては初任給をはじめ若年層に重点を置いた給料月額の引き上げであり、一時金についても引き上げ分の一部を勤勉手当に配分するとしたことは到底納得できるものではありません。今後も賃金水準の改善にむけて、組合員のみなさまのさらなる団結をお願いいたします。
また、わたくしたち稲沢教組も、稲沢市教育委員会への申し入れや稲沢市小中学校長会との懇談会を行いました。まず、職場の多忙化解消をめざし、スクール・サポート・スタッフの一校一人配置、中学校のテスト自動採点システムの導入、休日部活動の地域移行にむけた早急な環境整備の開始などを求めました。そして、教育諸条件の整備に関しては、全教員へのタブレットPCの配備、人的配置を伴う教科担任制の積極的な導入、市独自の栄養教員の配置、小学校体育館や特別教室等へのエアコンの設置などを要望しました。市教委や校長会ともに、学校現場の実態や要望に対して前向きな回答をいただき、各方面からその実現にむけて努めてくださっています。これらは、組合員のみなさまの声をもと、稲沢教組がねばり強くはたらきかけ続けてきた成果です。これこそが、本年度のテーマに掲げる「市教委」「校長会」「稲沢教組」という異なる立場の者が相互の考えを語り合い共有し、同じ方向を向いて新たなものを創り上げた成果であると思います。本年度も、わたくしたち組合員の想いを関係機関へ伝え、対話を繰り返していく決意です。定期委員会や白書アンケートなどを通して、積極的にみなさまの声を聞かせていただけると幸いです。
最後に、稲沢教組は教育に責任をもつ教員組合として、保護者や地域に信頼される教育活動をすすめていきます。子どもたちの明るい未来のために、組合員一人一人の力を結集し組合活動を推進していきましょう。
                                                  稲沢市教員組合執行委員長
髙 桒 俊 徳